Under The Darkness




「あ、アカン! それはアカン!!」


 私は制止の声を上げた。

 助けに来てくれた京介君に味方したいのだが、やっていることが非情すぎて直視できない。


「それ以上やったらアカンッ!!」


 私の声を全て無視した京介君は、男の頬を内側から外に向け切り裂いた。

 痛みと恐怖に口を押さえたまま転がり叫び声をあげる男に、京介君の異常な行動に、残った二人は固唾を飲んで動きを止めていた。



「オ、オレ達がいる間は馬淵に連絡はしないんじゃなかったのかよっ!」


 ――なんで……っ! 狂犬野郎が来る前に、ここを退散するはずだったろうがっ!!


 焦った尖り声を上げる男に、冷たい視線を向けた京介君が、まるで黒豹のように音もなく走り寄りる。

 そして、勢いをつけた拳を顔面にめり込ませた。

 声を上げる間もなく倒れ込んだ男は、後ろに吹っ飛ばされたまま動かなくなる。曲がった鼻からは夥《おびただ》しい血が溢れ出していた。



 ――――強い。


 強いだろうことは、豪から助けてくれた時に、意識を失う寸前まで見ていたから知ってはいた。

 けれどそれ以上だと、私は言葉を発することも出来ずに、ただじっと、倒れ込んだ男を凝視していた。



「美里さんを撮った映像は、これですか?」



 私の視界から外れた京介君が、いつの間にかデジカメを持つ男の背後にいた。

 私と同じく倒れ込んだ男を凝視していたデジカメを持った男が、ビクリと背後を振り向く。

 それと同時に、京介君は男の脇腹をなぎ倒すようにして足で抉った。

 くぐもった呻き声を上げながら、真横に吹き飛ばされた男は、ダンッと音を立てて床に転がされる。

 京介君は冷淡な眼差しで、男を上から見下ろした。

 そして、デジカメを握ったままな男の掌を靴で踏みつけながら、京介君の唇の上に、ゆっくりと残酷な笑みが広がった。


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