Under The Darkness
――イヤやな。なんかゴツいのばっかりで、マジでイヤや。
こういった筋肉の鎧を着たような体躯の男は、豪を思い出してしまう。
なるべくゴツいカラスの集団を視界に入れないように、私は彼らとは反対方向、入り口付近を見つめていた。
その時だった。
「みぃちゃんっ! 見つけたっ!!」
ひとつきぶりの、懐かしい声と姿。
「……悠宇っ!!」
歩幅の大きい長い足が持ち上がる度、彼の明るい茶髪がふわりと舞う。
一応悠宇は顔の知れた有名モデルなので、変装のために淡いグレーの色つきサングラスを掛けているが、容姿がすこぶる良いのはそんなものじゃ誤魔化せない。
女性達の視線が一気に彼へと向く。
『モデルのユウちゃう!?』そんな興奮した声まで聞こえてくる。
一直線に向かってくる彼の姿を捉えて、曇っていた私の顔が一気に喜色に染まった。
「……悠宇、悠宇、悠宇――っ!!」
走り寄ってくる悠宇に、私も彼同様両手を広げて駆け出した。
まるで何年かぶりに逢う恋人同士みたいにして、ガバッと抱擁する。
悠宇の両腕が私の背中に回り、抱え込むようにギュウッと抱きしめられて。
「ごめんなっ、助けてやれんで、ごめんな……っ」
私の頭に顔を擦りつけるようにして、悠宇はまた涙声になる。
私はふっと唇を綻ばせた。
「アホやな、なんで謝んの。あんなゴリラに隙作ってもうた私が悪いんや。悠宇はなんも悪ない」
腕を持ち上げて、よしよしと悠宇の頭を撫でてあげる。
声を殺して泣く悠宇に、『泣かんといて』と、私こそが涙で濡れる声で囁いた。
悠宇は私の頭から顔を離し、頬を濡らした顔でじっと覗き込んでくる。
「みぃちゃん、顔、ここ……痣なってるやん! 殴られたんやな……可哀想に……。痛かったな、よう耐えたな、……でもっ」
悠宇の肩が、小刻みに震えていた。
「……殺してやりたいわ……ほんま、殺したい」
天真爛漫な悠宇らしくない昏い声、セリフ。
私は悠宇の背中をバンッと強く叩いた。