Under The Darkness
「怖いこと言うたらアカン! ちゃんと帰って来てんから。ほら、もう泣かんの。男やろ?」
「……も、ムリ。泣いてる」
いいながら、悠宇はポロポロ涙を零す。
幾つになっても泣き虫は健在、相変わらずだと私は苦笑してしまう。
けれど、その原因は、私。
悠宇を泣き虫にさせているのは、いつも私だった。
心の中で、何度も謝罪の言葉を紡ぐ。
――ごめん。ごめんな。私が弱いから。だから、いつも悠宇を泣かせてまう。
昏い深淵に沈んでいきそうになる心を奮い立たせ、いつもの調子に戻そうと、私は明るい口調で憎まれ口を叩いた。
「ホンマなっさけない男やなあ。クールなイケメンモデルちゃうの? キャラ変わってるやん。クールちゃうし」
「ええねん。オレはみぃちゃんの前でだけ可愛らしい守ってあげたいキャラになんねん」
鼻をすすりながら、バカみたいなことを言う。
いつもの調子が戻ってきたと悟った私はホッとする。
それが嬉しくて。私はふふっと笑った。
「それやったら事務所のお姉様モデルにやったり。ウケるで」
「イヤや、アイツら皆女豹や。構ったったら最後、オレ、あっとういう間にボロボロにされてまうやんか」
ムリや。と、ぐしゃぐしゃになった顔で、悠宇はぶんぶん頭を振る。
サングラスで顔を隠していても、彼の顔は酷い有様だった。
私はハンカチを取り出して彼の濡れた顔を拭ってやる。悠宇は大人しくされるがまま、どこか満足げで。
いつまで経っても子供みたいな姿にまた吹き出した。