Under The Darkness





「……ちっとも綺麗にならんのやもん」


 洗っても洗っても、私の身体は綺麗になってくれない。

 黒ずんで穢れて、身体中に広がるドス黒いこの染みを拭いたくて。

 綺麗に洗っただけなのに。


 いつも、誰も分かってはくれなくて。


「一度、精神科へ行くことをお勧めします」


 帰り支度をしていた医師が、一言、そう忠告してくる。

 その言葉に、私は内部から突き上げられるような恐怖を感じて声を荒げた。


「違うねん! 最近はなかったんや、2日くらい前からまた出てきてもうただけや、ホンマや! お願い、いやや! あそこは嫌い! 絶対行かん! また閉じ込められてまう!!」


 囚人のような鉄格子の嵌まった窓、拘束具がベッドに備え付けられた歪な部屋。

 自殺の可能性があると言うことで、両手を拘束具で縛られて、繋がれて。


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