この恋、国家機密なんですか!?


私は高浜さんは知っているけど、その奥さんは知らない。

当然、赤ちゃんの顔を見たこともない。

なんだか私だけ、蚊帳の外みたい。

面白くなくて、布団の横で膨れて座っていると、スマホをしまった宗一郎さんがのぞきこんできた。


「どうした?」

「……」

「まさかとは思うが……嫉妬か?」


黙ったままでいると、宗一郎さんは突然笑いだした。


「おいおい、やめてくれよ。俺はあんな女に興味はいっさいない」


あんな女だって……。

私は知らないから、何も面白くないし。


「親しかったんですね」

「親しくはない」

「じゃあなんで、大晦日にメールなんか」


だんだんと、つまらない痴話げんかになってきちゃった。

初めてのお泊まりで、こんなのは嫌だ。

もう……なんで私、もっと大人になれないんだろう。余裕がないんだろう。


「……本当に高浜嫁とは、何もない。ってなんで、俺がこんな言い訳をしなきゃいけないんだ」


あいつだけはありえない。
宗一郎さんは腕を組んで、ぶつぶつ言っていた。

そのうち……。


──ごーん……。


どこかから除夜の鐘が聞こえてきた。



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