この恋、国家機密なんですか!?
「……お」
そんな私の心を完全に無視して、宗一郎さんはあるページに目を止めた。
「こっちにしよう。上賀茂神社」
……か、上賀茂……それって、厄除けの神社だったような。
「そ、それだと周りに何もないから、移動するのが大変だよ。ご飯を食べるところだって、神社の前のちっさい売店しか、ないよ?」
なるべく動揺を隠し、必死で説得しようとするけど……。
「いや、こっちがいい。世界遺産にも登録されるほどの、由緒ある神社じゃないか。……人も、他のところよりは少なそうだし」
最後の一言が本音じゃん!
そりゃそうだよ、上賀茂神社は由緒正しいけど、周りに何にもないんだもん……。
っていうか、縁結びは~!?
「やーだー!清水がいいー!」
「バカ者、人が多ければそれだけ犯罪にあう確率も高くなるんだぞ。すりとか、痴漢とか。上賀茂で決定。さ、行くぞ」
「ええ~!?」
こんなときばっかり警察官ぶって!
っていうか、最初から私に決めさせる気なんかなかったんじゃん!
だったら聞かなきゃいいのに!
私は旅館の車に乗り込んで、行きたくもない(罰当たり)上賀茂神社に行くことになってしまったのだった。