この恋、国家機密なんですか!?
上賀茂神社につくと、そのにぎやかさに宗一郎さんは眉をひそめた。
「混んでるじゃないか」
「当たり前じゃないですか……」
だから今日は元旦だってば。
田舎の名もない神社だって、今日は混んでるよ。
京都最古の世界遺産の神社だもん、そりゃ人も多いでしょう。
「うむ、ここまで来たら腹を決めよう。行くぞ、唯」
……そこまでして……。
なんで初詣を思いついたんだろう、この人……。
「初詣なぞ、子供のとき以来だな……」
宗一郎さんはぶつぶつ言いながら、私の手を引き歩き出す。
参拝客の列に並んで、じりじり進む。
歩くというより、本当に遅い流れるプールに身をゆだねているだけな感じ。
ついさっきまで寒かったのに、途端にむしむしと熱くなってきた。
「正月から神頼みするやつの気がしれん……」
と言いながら、宗一郎さんはしっかりと私の手を、強くにぎっていてくれた。
人波に押されて、はぐれてしまわないように。
私の目の前では、涙目の小さな女の子が、ふわふわのコートを着て、お母さんに抱かれている。
その横にいる旦那さんとかわるがわる、女の子を抱っこしては、「もう少しだから」となだめられていた。