この恋、国家機密なんですか!?
「唯、遊びに行くんじゃないんだ。極秘任務に女を連れていくやつが、どこにいる?」
「そんなの知りません。だけど私は、宗一郎さんについて行きたいんです」
「唯」
宗一郎さんの手が、そっと私の手をにぎった。
そうされてはじめて、自分の手が震えていることに気がついた。
「俺だって、お前と離れたいわけじゃない。だけどお前は、結婚したいんだろう?もう29だからって、焦ってるんだろう?」
「それは……」
その通りだ。
ひどい。
あなたは私の気持ちがわかっていたのに、気づかないふりを続けていたんだ……。
彼を責めるように、私の目に涙がにじむ。
「わかってるなら……」
あなたが、ここでプロポーズしてくれたらいいじゃない。
そうしたら、極秘任務について海外に行ったって、普通の遠距離恋愛じゃない。
もっと、ずっと、強い絆で結ばれるはずなのに。
ただの紙切れ一枚だって、あなたの奥さんだって証明があれば、私は待ち続けられるのに……。
私の言いたいことがわかったのか、宗一郎さんは。
ゆっくりと……首を横に、ふった。