この恋、国家機密なんですか!?
「悪いが俺は、誰とも、一生、結婚するつもりはない」
……完全な拒絶。
まるで目の前で、固い扉が閉ざされてしまったような気がした。
唇が震える。
ナイフでえぐられたくらいに胸は痛くて、涙がぼろぼろと溢れだした。
そして、私に致命傷を負わせた宗一郎さんも、悲しげな顔をしていた。
「だから……俺にはお前の望む幸せを、与えてやることはできない。結婚という名の、この世で最大の束縛を」
しぼりだすように、ぽつりぽつりと、言葉が落ちていく。
結婚という名の、束縛……。
ああ……そうだ。
だから、ゆずれなかったんだ。
この世には、いろんな人がいる。
結婚しても子供はいらないという人もいるし、事実婚でいいと言う人もいる。
あるいは、結婚なんかしないで、いつまでも自由でいたいという人も。
そう、結婚しなければ、自由なんだ。
誰とくっつこうが、離れようが、誰も責めない。
逆に言えば、いつ相手に捨てられてもおかしくないということ。
夫婦になったって、心の自由は相手がどうにかできるものじゃないけれど。
別れたりすることだって、現実に、よくあることだけど。