この恋、国家機密なんですか!?


「悪いが俺は、誰とも、一生、結婚するつもりはない」


……完全な拒絶。


まるで目の前で、固い扉が閉ざされてしまったような気がした。

唇が震える。

ナイフでえぐられたくらいに胸は痛くて、涙がぼろぼろと溢れだした。

そして、私に致命傷を負わせた宗一郎さんも、悲しげな顔をしていた。


「だから……俺にはお前の望む幸せを、与えてやることはできない。結婚という名の、この世で最大の束縛を」


しぼりだすように、ぽつりぽつりと、言葉が落ちていく。


結婚という名の、束縛……。

ああ……そうだ。

だから、ゆずれなかったんだ。


この世には、いろんな人がいる。

結婚しても子供はいらないという人もいるし、事実婚でいいと言う人もいる。

あるいは、結婚なんかしないで、いつまでも自由でいたいという人も。


そう、結婚しなければ、自由なんだ。

誰とくっつこうが、離れようが、誰も責めない。

逆に言えば、いつ相手に捨てられてもおかしくないということ。

夫婦になったって、心の自由は相手がどうにかできるものじゃないけれど。

別れたりすることだって、現実に、よくあることだけど。


< 96 / 214 >

この作品をシェア

pagetop