この恋、国家機密なんですか!?
だけど結婚していれば、その自由な行動を、倫理という名で制限できる……。
それはたしかに、束縛以外のなにものでもないだろう。
だけど……私は。
宗一郎さんに、私だけのものになってほしかった。
私は、宗一郎さんだけのものに、なりたかった。
「悪かった。結婚する気もないのに、お前の貴重な3年間を無駄にさせた」
「……っ、く……っ」
「……早く別れるべきだったのに……決着をつけるべきだったのに、そうできなかったのは、俺のせいだ。俺が唯を、手放せなかった」
宗一郎さんは泣きじゃくる私の背に腕を回し、優しく抱き寄せた。
「ありがとう。一緒にいると、心が安らいだ。お前は俺の……宝物だったよ」
そう言って、前髪の上からおでこにキスをする。
どうしよう。
なんて言ったらいいのか、わからない。
離れたくなんかないのに、でも。
この先、私たちの望む道が交わることはないのだと、嫌になるくらいわかってしまった。