愛を知る小鳥
「はぁはぁはぁ…」

あれからしばらく刺激を受け続けた美羽の呼吸は激しく上がっていた。潤はゆっくりと体を起こすと、美羽の身につけていたものを一つずつ元に戻し始めた。

「潤さん…?」

まだ息を上げながらも濡れた瞳で問いかける美羽に優しく微笑む。

「今日はここまでにしよう」

「…え…?」

「美羽、焦らなくていいんだ。これだけでも美羽にとってはとてつもない一歩だろう? 今はこれだけで充分だよ」

「潤さん…」

彼の優しさが心に染みて涙が滲んでくる。

「あ、でも」

「…え?」

「これから毎日少しずつ慣らしていくからそこは覚悟しておくように」

「…えっ?!」

一瞬ポカンとするが、すぐにその意味するところを理解すると、ボッと全身が真っ赤に染まった。予想通りの反応に潤はぷっと吹き出す。そんな美羽に追い打ちをかけるように耳元でそっと囁いた。

「真っ白な肌の美羽が真っ赤になるとピンク色で綺麗だったよ」

「なっ…?! なっ…!!!」

全身を真っ赤に染めて顎が外れそうなほどあんぐりと口を開けるその姿は、さながら郵便ポストのようだ。

「~~~~っ、潤さんっ!!!」

「はははははっ!」

我に返ってポカポカと胸を叩いてくる美羽を抱きしめると、そのままベッドにダイブした。やがておかしくなってきたのか美羽も笑いだし、二人でこれでもかと大笑いした。
とても充実した時間だった。
それから二人はいつものようにぴたりと寄り添うと、そのまま幸せな眠りへと誘われていった。







____悪魔が着実に近づいていることも知らずに。
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