もとカレとの、終わり方
プロポーズ

雨の中で

冷たい、雨が降っていた。

私はそんな雨の中、ただひたすら歩いていた。

外は、真夜中のごとく暗かった。

まだ、16時にもなっていないというのに。

夏の雨は、湿っぽい。

やたら、湿っぽい。

”びしょぬれ”よりも”びちょぬれ”。

そんなカンジの、ぬれ方をしている。

左手には、傘があるというのに。

右手に持ったケータイは、もうとっくに死んでいる。

後悔したって、もう遅かった。

もう、あの人はあそこにいないと言うのに。

跡形もなくなった部屋。

意味を持たないケータイ。

さようならさえも・・・言えなかった。

もっと、もっと早く来ればよかった。

涙は、雨と一緒に私の足元へ流れていく。

泣いても、泣いても、止まらない。

あなたのいない世界に、私は生きていただろうか?

考えてみる。

考えてみる。

思考停止の頭の中で必死に考える。

答えなんかでるはずがないのに。

それでも私は必死に考えた。

だって・・・答えがなくても、探さなければならない気がしたから。


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