だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版

嫉妬...シット






熱でぼんやりしながら、この前のことを考えていた。




『体調管理はしっかりしてくださいね』




今の自分に聞かせてやりたい言葉だ。


人に強く言っておいてこのザマだなんて、本当に最低。

油断しただなんて、言い訳にもならない気がした。

一番忙しい時に、みんなに仕事を押し付けてしまった。



私がしている仕事は微々たるものでも、してあげられることは沢山あるはずだった。

例えば、水鳥さんと一緒にランチを食べてリフレッシュすることも。

櫻井さんにいつものブラックコーヒーを入れて、溜まった雑務を引き受けることも。

疲れた顔の森川に甘いものを差し入れて、浮かばないアイディアを二人で練ることも。

松山と篠木に基本的なプレゼン作りを教えて、資料整理をしながら今までの仕事を教えてあげることも。


本当に些細なことかもしれないけれど、自分に出来る精一杯があったはずだ。



居場所がない、と思いながら仕事をしていたはずなのに。

居場所がなくても、それで構わないと思っていたのに。



何にも執着せずに生きていくのは、難しい。

身体が弱ると、心も一緒に弱ってしまうから。

余計なことを考えずにいなくては。




とりあえず今日一日で熱を下げて明日には出社しようと思い、また少し眠りについた。




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