蒼夏の刹那
何となく蒼は追いかけては来ない、ような気がした。



あの表情からすると、蒼は何か大事な事を伝えようとしてた――でも、その前に嫌な予感がして、私が逃げてしまった。



だって、聞きたくなかった。



また、蒼が遠くへ行ってしまうような気がして。



……また?



どうして私は“また”だなんて思ったの。



頭が、痛い。



蒼はちゃんと生きてるのに……



目眩がし、そのまま倒れ込んだ私が最後に耳にしたのは、懸命に私の名前を呼ぶ誰かの声。






悲痛な声が耳にこびりついて、離れない…………






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