蒼夏の刹那
学校から家に戻って来ても誰もいない。もともと両親はやる事はやるけど、無関心で、夜遅くまで仕事があるからいつもひとり。



カーテンが引いてある薄暗い部屋。



散らばった本。



無音の空間。



私の生活から、蒼がいなくなって音が消え色が失くなり――



次は何がなくなる?



……もう、何を失くしても痛くない。



壊れた心じゃ何も考えられない。



生きていくのって、こんなに辛いんだ……



蒼がいる時は思わなかった。毎日が幸せで、蒼がいるだけで、そこには幸せがあったから……






何もいらなかった。






特別なものも何も。






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