蒼夏の刹那
私は微笑む。



「なぎくん、また背伸びた?」

「ちょっと。藍花はまた可愛くなったね、すごく……綺麗だ」

「えへへ。なぎくんはかっこよくなったね」



私がそう言うと、なぎくんは照れたように笑った。



私が今また笑えるのはなぎくんのおかげ。



なぎくんがいなかったら、私は蒼の後を追っていたかもしれない――そんな事したって、蒼は喜ばないのに。



私は髪を伸ばしている。なぎくんが好きだって言ってくれたから……綺麗だって微笑むなぎくんの方が、私は綺麗だと思ったけど。



なぎくんと私は三年生になった。



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