蒼夏の刹那
桜舞うあの坂道で
蒼い風に乗って花びらが舞う空の下、私は手のひらに小さな花びらを乗せる。



あの蒼い澄んだ夏から、季節は二度通り過ぎて――優しい花の降る春になった。



「桜……咲いたよ」



私がそう呟いた時、優しい声が私を呼ぶ。






「藍花」






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