蒼夏の刹那
【蒼夏編】葉桜日和
「なあなあ、気分転換に外いかへん?」



蒼の言葉に私と速水くんは顔を上げる。



今は夏休みで、蒼の部屋に集まって課題をしているけど、まだ半分も進んでない。



「蒼、休憩には早い」



速水くんが呆れたように言う。



「休憩に早いも遅いもないやろ?渚も勉強ばっかやっとると、眉間の皺取れんようになるで」

「学生なんだから、当たり前」

「渚は石頭やな」

「聞こえてるよ蒼。……椎名はどっち?」

「え」



完全に傍観していた私は、速水くんに突然話を振られ慌てる。



「えっと……わ、私も休憩したいかな……」

「椎名がそう言うなら仕方ない」



速水くんはそう言って課題を片づけ、蒼が嬉しそうに私の手を取った。



「藍花は優しいな、おおきに」

「そんな……大げさだよ」



蒼が嬉しいと私まで嬉しくなる。



< 95 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop