蒼夏の刹那
蒼の家を出ると、蒼く澄んだ空と照りつける真夏の太陽、蝉時雨。



私たちの大好きな夏の世界が、そこには広がっている。



「暑いけど、やっぱ夏は暑ないとな」

「暑いけど……悪くないよね」



速水くんは夏でも長ズボンだけど……暑くないのかな?



「椎名どうしたの?」

「えっ」

「じっと見てるから」



思ったよりじっと見ていたらしく、速水くんは不思議な顔をしている。



「速水くん、夏でもいつも長ズボンだけど……暑くないのかなって」

「店とか行くとクーラー効いてるでしょ。だから、この方が丁度いいんだよ」


「そうなんだ」



たわいもない話をしながら、私たちは近所を散歩した。



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