翼~開け放たれたドア~
いつもいつも。

この子には驚かされてばかりだ。

姫なら普通、媚びうったり、気に入られようと必死になるのにそれをしない。

ましてや、俺たちを守るだなんて言ったりしない。

春輝さんなら、安心できると思うのはどうしてだろう。

「分かりました!頼りにしてますね?」

「ん」

そっけなく春輝さんは返事したけど、俺は“守る”と言ってくれて嬉しかった。

それに…また笑ったから。

さっきより、わかりやすい微笑みで、もしかしたら春輝さんは照れてるのかな、なんて少し調子よく思ってみたりして。

下っ端たちの歓声が倉庫を包むなか、俺は春輝さんに向かって笑っていた。

~雅人 side end~
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