翼~開け放たれたドア~
「…仕事でしょ?」

「さっすが春輝!わかってたみたいだな」 

「……雷がわかりやすいだけ」

「うっ…それを言われちゃどうにもならん…」

しょんぼりと俯く雷の車に乗り込む。

エンジン音がして、景色が段々と線になっていく。

「どこ?」

「今日は赤鬼セッキっていう族だってさ。
強姦やカツアゲから、薬までやってる。
この間、殺人未遂までしたんだってよ」

「ふーん…」

それなら依頼がきてもおかしくないね。

「起こしてやるからそれまで寝てればいい」

「…うん」

いつもの優しさ。いつものことだけど。

それが、私の心を暖かくするんだ。

「ありがと、雷」

「どーいたしまして♪」

上機嫌で返してきた雷の頭を、私はそっと撫でた。

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