翼~開け放たれたドア~
1-Aというプレートが近づくにつれて、私の不機嫌さは増していった。

「は、春輝さん。挨拶だけ済ませて屋上いって もいいので、殺気出さないでください…」

苦笑いを零す龍也の言葉に、若干機嫌は直ったけど、憂鬱なのに変わりはないわけで。

「…チッ」

思わず漏れた舌打ち。

なにが悲しくて、人の前で挨拶しなきゃいけないんだろう。

「着きましたよ、春輝さん…」

龍也の一言で、もう着いたのかと思った。

…いっそのこと着かなかったら良かったのに。

無理な話なんだろうけど。
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