翼~開け放たれたドア~
「…じゃあ手を繋ぎましょうか」

春輝さん、人見知りですし、と言う龍也の提案に、私はコクリと頷いた。

差し出された手を掴めば、温かさが伝わってくる。

それに安心した私は、龍也を見上げて、

「龍也の後ろ、隠れる」

とだけいっておいた。

それに龍也は苦笑したけど、ダメだとは言わなかった。

それは、龍也の優しさなんだってことを、私は知っている。

やっぱり、雷たち以外の人は、いやだな。

喧嘩するときとかは平気なんだけど、あんまり話したり、顔見られたりするのは嫌い。

だから今も、パーカーのフードを深くかぶっている。
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