翼~開け放たれたドア~
──シャアァァァァ……

髪についた血が床に見えた。

それを見て、私を見る怯えの目と、赤鬼の幹部の人たちのことをふと考えた。

…あいつら、良い人なのかもしれないな。

本当に腐りきった奴は、私が話しても逆上するだけだから。

だからいつか連絡きたときには、会いに行く。

どんなふうに変わっていくかな。

きっと、もう大丈夫だろうから心配はしないけど。

私と違って、光のなかで生きてほしい。

そう、こんな赤と黒に塗りつぶされた私と違って……。

「私は……」

白くなんかない。
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