翼~開け放たれたドア~
俺も驚いたんだがな。

「確かにあの時は逃げ出した。
その後は、誰も行方も消息も知らなかったからよ。
俺も諦めていたんだが…」

あの人はすごいからなー。

あの人が今、刑務所にいるなんて信じらんねえとさえ思えてくる。

「春輝と出会って3ヶ月くらいたったときだったっけか。
いきなり、あの人が捕まってサツ連れてかれたという報道が裏の世界で駆け回ったのは」

“ら、雷さん!あの、篠原シゲルがサツに…!”

“は…!?”

突然の報道。

長年苦しんできた奴らがむくわれた瞬間。

それは、俺の心のわだかまりを溶かした瞬間であり、そして…。

“あの人”という人が、俺のなかに取り残された瞬間でもあった。

「だけど、誰が、ということだけは分からなかった。
あの人が潰された篠原組の組長の部屋でクスリ打って、意識が飛んでいるところを捕まえたことは分かったのにな」
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