翼~開け放たれたドア~
「春輝…」

小さなその手を握りしめた。

冷たい温度が、伝わってくる。

「……龍也。覚悟しとけ」

いつもと同じならば。

起きたあと、春輝は大変なことになる。

「分かった」

龍也もそれを知っているから、きっと悲しそうな顔してんだろうな。

「春輝…お前は独りじゃねぇ。
……大丈夫だ」

届かない言葉を、眠る春輝にそっと呟いた。
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