翼~開け放たれたドア~
「でも…私そんな翼なんて……」

あるわけないのに。

そんな私に、お母さんは少しだけため息をもらすと、どうやるのか分からないけど、自分の翼を大きく揺らしてみせた。

「あら、あるわよ。
ここはあなたの心なの………。
今……、一番会いたい人を思い浮かべて……」

一番……、会いたい、人…?

私はそっと目を閉じてみた。

すると、瞼の裏に浮かぶのはやっぱり……

「……ふふ。春輝、それでいいわ。
会いたいその人を想えば……それは大きな翼になる……」

私の頭を優しく撫でる大きな手…。

私を抱きしめる力強さ…。

さらりと揺れる黒髪…。

優しく細める黒の瞳…。




ふわり…と、私の周りに風がおこる。

それがだんだんと大きくなって周りを取り囲み、私を包んでいく。

その優しい感触にそっと……目を開ける。

──ポゥ…ポゥ…

温かな光の塊が私の周りを飛んでいて、それが徐々に私の近くを取り囲んでいく。

ふと見回してみてもその光はあって。

…私…光ってる……?
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