翼~開け放たれたドア~
だから…私も笑った。

「あ、そうそう」

……んだけど。

そんな、ムードをぶち壊すようなお母さんの発言にずっこけそうになった。

行きなさいって言ったのお母さんなのに……。

でも、そんなお母さんの言葉に、私はまた泣かされることになるなんて、私はこのときまだ思ってもいなかった。

「あなたの名前のこと、まだ話してなかったわ」

私の名前?

私が首を傾げると、お母さんはクスッと笑った。

「あなたの名前、『春に輝く』って書くでしょう?
その意味をまだ教えてなかったわね」

確かにそれは聞いたことなかったな…。

「春輝の名前はねぇ……、あなたが産まれてから最初に見上げた空にいた鳥からもらったのよ」

と、り…?

その言葉を聞いてすぐに私の頭には

──“wing”という言葉が真っ先に思い浮かんだ。

「皮肉なものよねぇ……。
あなたの通り名の由来も、あなたの名前の由来も同じだなんて…。
でもね?私はそんな意味で春輝の名前を考えたわけじゃないからね?わかるでしょう?」

「……ん」

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