翼~開け放たれたドア~
「あ…」

春輝の目が、少しだけ明るくなっていくような気がした。

「ら、い…。龍也…」

その瞳に2人を映し、名を呟いた。

よかった…とりあえず大丈夫そうだな。

「そうだ。雷だ。大丈夫だ」

「龍也ですよ。春輝さん」

雷さんと龍也さんの言葉に、春輝の表情が緩んだ。

ホッとしたような、そんな感じ。

そして、瞼を閉じたかと思うと、ガクンと春輝の体が揺れた。



──気ぃ失ったか。

雷さんは春輝を抱き上げると、こちらへ近づいてきた。

「悪かったな。お前ら」

「…いえ、もとはといえば俺が悪いですし」

「こいつは人騒がせなんだよな。振り回されっぱなしで疲れるー」

「よくいうよ。お前が一番人騒がせなくせしてよ」

「なっ、龍也てめぇ!俺のどこが人騒がせなんだよ!!」

「……全部?」

「はぁ!?全部な訳あるか!」

…雷さん、それじゃあ自分が人騒がせだって認めてるんじゃねぇか?

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