翼~開け放たれたドア~
そして、暴走がなかったら、仲間になんてしないと思う。

「そんなんなら、優しさなんて捨てればいい。
中途半端は、相手を傷つける」

「中途半端に近づくつもりなんてねぇ。
むしろもっとだ」

は?

「何が言いたい」

「中途半端に近づいて助けることなんてできねぇだろうが。
さっきのお前見てたら、なおさらそうだ。
深入りする覚悟ならとっくにできてる」

黒髪の言葉、なんかすごいな…。

嫌なのに、すんなりと心に入ってくる。

だけど…だからといって信用はできない。



黙っていると、

「……春輝。入れよ。王覇に」

「雷…」

雷が口を開いた。

「いいだろ?だって…」

雷は耳元に唇を寄せ、そっと言った。

「俺と龍也が作った族の後輩なんだからさ」

ニッと笑った雷の顔は、自信たっぷりといった感じ。

…雷らしいな。

しょうがない。

こんなにも頼まれてるんだから、ここで拒み続けてあとで何か言われてもめんどくさい。
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