明日、嫁に行きます!

 心の内ではぶうぶう文句を垂れながらも、手元だけは朝食の準備に忙しなく動く。
 その流れるような動作に、新聞を広げソファに凭れながらこちらを眺めている鷹城さんが、ビックリ顔になっていた。

「はい! 朝はいつもご飯かパンかわかんなかったから、とりあえず今日はご飯で。リクエストがあったら事前に教えてね。可能な限り答えてあげるから」

 だし巻き卵にシャケの塩麹漬けを焼いたもの(お母さんありがとう!)、薄味で煮付けた高野豆腐と、キャベツの浅漬けにおみおつけ、そしてご飯。
 和食にしてみました。まあ、少ない食材でこれだけできたら合格でしょ。うん。
 テーブルに並んだ純和食な朝ご飯を見て、まだビックリ顔が解けない鷹城さん。

「貴女、料理まで出来たんですね」

 茫然と呟かれたそのセリフに、私は斜め上からドヤ顔を披露する。

「私、6人弟妹の長女なのよ。出来て当然?」

 ほら、褒めていいのよ。褒めて褒めて!
 ふんぞり返る私に、鷹城さんはクスッと笑う。

「寧音は凄いです。掃除洗濯料理、全てにおいて完璧な貴女は、僕の妻に本当に相応しい」

 でしょう!?
 私はただ愛でるだけの使えないお人形じゃないんだから!
 他の女子なんかよりスッゴい使える女なんだから!
 ゴミ屋敷を一夜でモデルハウスにした、ビフォーアフターばりなこの凄腕!(ごめんちょっと盛ったわ)
 見たか、過去の彼氏ども。鷹城コンツェルンの若社長にまで認められた、この私の実力を!!

 ……って、今、この男、なにげに私のこと呼び捨てにしてなかった?

 まだ言ってるし。妻とか。
 偽装結婚を目論んでいる彼の計画は、未だ継続中というわけかと私は目を瞠った。
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