明日、嫁に行きます!

「明後日の月曜日から大学まで使いを遣りますので、必ず来て下さいね」

 先ほどとは打って変わって機嫌良くそんなことを言うものだから、今までの私の煩悶はなんだったのかとムッとする。唇を尖らせながら、またも強がりな態度を取ってしまう。

「……なにそれ。命令してんの?」

「いえ。お願い、です」

 にっこりと、

 ――――逃げ出しやがったらどうなるかわかってんだろうな。あ?

 という威圧的な眸を向けてくる男に、私はカッと頭に血が上り、そして、ガックリと頭を垂れた。
 家族を人質に捕られる身としては、これ以上反抗的な態度を取るのはよろしくないと、そんな諦めが頭を掠めて大人しく口を噤んだ。

「で、寧音。先ほど本社のエレベーターホールで、徹とふたりきりでいましたね。……何を話していたんですか?」

「え?」

 鷹城さんの尋問するような厳しい声に、私はきょとんと目を丸くした。

 な、なにその目。なんでそんな殺気立った目で私を見るの!?

 殺気という名の威圧に気圧されて、椅子の上で思わず後ずさる。

「徹はああ見えて、昔から女性にとてもよくモテるんですよ。貴女のような幼い女など、あっという間に落とされて喰われてしまうでしょうね」

 幼い女って何!?
 あっという間に喰われるって、どれだけ私をバカにしてんのこの男! 
 全身の血が沸騰したように熱くなり、全身がワナワナと震え出す。
 せっかく大人しくしてたのに!

「幼い女ってなに!? 私は大人な女なのっ、バカにするのも大概にして! あんな女の子みたいな顔した男に簡単に喰われてたまるもんですかっ!」

「……ああいうのは好みじゃないと? そう。それならいいんです」

 満足げに頷く姿にカチンときた。
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