アン・ロマンス
幼稚園児の憂鬱
「克生!もう、かーつーき、こっち!」

母に連れられて訳もわからないままに大きな敷地を囲った施設に連れていかれる。

桜。
このあちこちに咲き乱れている花の名前。

綺麗なのに、咲いている場所は高くてとてもじゃないけれど届かない。落ちた花しかいじることが出来ない。

僕は咲いているそのままのそれを手にとってみたかった。

近くの柵から登れば届きそうな房があったので、それを取ろうとした。
だが、あえなく母に引き戻され、そのままこれまた大きな建物のところまで連れて行かれた。
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