アン・ロマンス
帰りは母と共にガストに入って、食事を済ませて家に帰った。

家。
暗くなったらここで僕は暖を取り安全を確保して明日まで寝なければならない。

一年前くらいからこの古い一軒家に越してきたが、ジメジメとしていてイマイチ好きになれない場所だった。

それに、この場所に来てから、父と母の喧嘩やすれ違いが絶えなくなり、部屋で、食卓で、罵声やものが飛び交うようになったのだから。当然素直に好きと言えるものじゃない。

出来ればそこに帰りたくなかった。純粋に帰りたい場所ではない。

それが、帰りたい唯一の居場所になってしまうだなんてその時はまだ考えもしなかった。
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