カラダ探し~第ニ夜~
「翔太、今日はそっとしておいてあげて。美雪の妹が、交通事故で亡くなったから……」


「嘘だろ!?もしかして、『昨日』が変化した影響で……なんか、ごめんな」


留美子も翔太も、私を気遣ってくれている。


なんだか逆に申し訳ない。


「大丈夫……『昨日』に戻ったら、真冬を買い物には行かせないから」


私はそれで済むかもしれないけど、袴田は違う。


「昨日」に戻れば、あゆみちゃんが苦しむ日がやってくる。


袴田だって、それで良いなんて思ってるはずないのに。


それを悟らせないためか、それとも病院で言っていたように、高広が憎いだけなのかは分からないけれど。


口喧嘩は止まらない。


皆で仲良く……なんて、できないんだろうな。


ふたりが口喧嘩している間に、生徒玄関のドアが開く。


「カラダを探すつもりがねぇなら、テメェは入ってくんな!邪魔なんだよ!」


そう吐き捨て、生徒玄関に向かう高広。


高広の言う通り、袴田にカラダを探すつもりはない。
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