腹黒王子に囚われて
 
数分にわたる長いキスは
ようやく離され、二人の呼吸が入り混じる。


じっと見つめた瑛太は
やっぱりどこか苦しそうで
そっと瑛太の頬に手を重ねた。


「……どうしたの?」

「何が…?」

「なんか……泣きそうだから」


いつも自信に満ち溢れていた瑛太の顔は、その自信が欠片も感じられない。

いったい何に悩んでいるのか……。



「葵は……

 好きなやつっていんの?」



突然の質問。

予想外すぎて、目を丸くさせた。



「いたら、こんな仮のカレカノなんてやってないでしょ」

「……だよな」



それでも納得のいってない顔をしていて
ただじっと瑛太の顔を見つめていた。
 
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