腹黒王子に囚われて
 
「だから……」
「いいから寝てて。
 誰もいないんでしょ?」
「なんで知って……」
「知りたくなくても、あんたは有名人だから知っちゃうの」


あたしだって、別に好きで知ったんじゃない。

けど、本人の口から聞かないで、
噂として出回ったことを、美咲から聞いたのがちょっとだけ悔しいって、
今初めて思った。



「何か食べた?」
「昨日の夜から何も……」
「……薬は?」
「ない」



案の定、この家に薬なんてものはなく、買っておいて正解だった。


「あんた、そりゃ、治るものも治んないよ」
「……うるせぇ」
「いいから寝てて」



まだごねそうな瑛太を寝室らしき部屋へ押しやって、勝手にキッチンを借りた。
 
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