腹黒王子に囚われて
 
綺麗なキッチンは、まるで誰も使っていないような綺麗さで……
悪いと思いつつも、開けてみた冷蔵庫は、飲み物くらいしか入っていなかった。


いったい、どんな食生活をしてるんだか……。



とりあえず、買ってきた食材でおかゆを作った。
と言っても、おかゆと言うよりは雑炊に近い。

ダシを入れて、しょうゆで少しだけ塩気をつけて。
卵をいれて栄養も考えて。


あつあつのおかゆと、お水をグラスに注いで、瑛太が寝ているであろう寝室へと入った。




「できたよ」

「……食欲、ないんだけど」

「なくても、少しは食べるの。
 薬飲めないでしょ」

「……」



まるで駄々っ子のような、ふてくされ顔をする瑛太。

初めて見るその表情に、ちょっとだけ笑えた。



「……熱そう…」
「ふーふーしてあげよっか」
「……うるせぇ」


今度はちょっとだけ頬が赤く染まった。


瑛太からかうの、好きだわ。
 
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