腹黒王子に囚われて
 
「すげぇ……落ち着く…」


瑛太も安心したように笑っていて、
なんだかその笑みを見たら、胸の奥がキュンとしたような気がした。


仮面をかぶった、似非優しい王子の顔か、
意地悪で、ムカつく言葉ばかり言う顔しか知らない。


だけど今目の前にいる瑛太は、
仮面をかぶってないのに、穏やかな顔をしていて……。



「……」

「熱、うつった?」

「え?」

「顔、赤い気がするから」

「……そんなことないよ」



瑛太の顔を見て、自分の体温が徐々に上がっていくような気がした。



ダメ…。
惑わされちゃ……。

今あたしがドキドキしているのは、瑛太の顔がカッコイイからであって……。



だからこれは恋なんかじゃない。



そう、言い聞かせた。
 
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