ラッキーセブン部 【番外編】

近藤 隼一編

寒い…。布団から出れない…。

ニャーニャー

俺の布団の中にセブンが入ってきた。こいつもこいつで寒いんだろうか…。いつもなら邪魔だけど今日は寒いから許す。セブン結構、暖かいな…。

ピーンポーン

そうやって、セブンと布団にこもっていると、誰かがインターホンを押した。しかし、俺は出る事はせず、その誰かが立ち去るまで待った。

ピーンポーンピーンポーン

しかし、全然立ち去る気はないみたいだ。もう少し待ってみよう。

ピーンポーンピーンポーンピーンポーン

どうやら、相当、しつこい人のようだ…。俺は仕方なく、布団から出て、玄関の扉を開けた。冷たい風が一気に入ってきて、今すぐにでも閉めたい気分だ。俺はインターホンを押した相手を確認するためにもう少しドアを開けてみた。
そこにいたのは…大家さんでした…。

「今月の家賃は…まだかしら?」
「ははは」

バタンっ(俺がドアを閉める音)
ガッ!(大家さんがドアに足を挟む音)

怖いよ。普通の不良より怖いよ…。とにかく、ここを出て逃げないとな…。家賃は…払えそうにないから。

「い、今。持ってきますね。家賃…」
「じゃあ、玄関で待ってるわ」
「いや、あの…ここは7階で逃げれないんで…外で待っててもらえませんか?」
「そうね…。早くしてね。外は寒いから」

俺は静かにドアを閉めた。そして、これからどう逃げようかを考える。…そう…ここは7階。窓から飛び降りて逃げるのは不可能…。だが、大家さん、甘いよ。俺にはまだ、逃げ道がある。
俺はスマホを取り出し、ある人物にメールしてから、素早く服を着替えた。そして、ベランダに出て下に通じる緊急時ハシゴで下の部屋に降りた。下の部屋に着くとメールした人物が布団にくるまりながら窓を開けてくれた。

「クリスマスの日になにしてるわけ?あんた」
「姉さんもクリスマスの日にどこにも行かず、何で布団にくるまってんの?」
「うるさいわね。窓閉めるわよ」
「あぁ!閉めないで!」
こんな寒空の下で姉さんは俺を、ベランダに置く気か。でも、まぁ
姉さんの部屋を通り、下に降りるという行為ができることを大家さんが知らないのは良いことだ。その代わり、俺の大事な物が一つ減るわけだが…。

「じゃあ、姉さん。ありがと。はいっ。カードコレクションの一枚」
「サンキュ」

俺は姉さんにレアカードを渡すと部屋を通り、見事、外に逃げる事に成功した。

栄先輩のような金持ちなら、こんな事にならないだろうけどね。本当に金持ちは羨ましいよ…。
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