ラッキーセブン部 【番外編】

笹井 七恵編

「いらっしゃいませ」

何でこんな日に…喫茶店のバイトなんてしてるんだろう。それに店に来る客はほとんどカップルばっかりだし…。今頃、ラッキーセブン部の後輩達は楽しい日々を過ごしてるのかな。…あいつも…誰かと…。

「すいませ〜ん。お水ください」
「はい!」

考え事なんてしてる場合じゃないか…。仕事に集中しないと…。

カランコロン

店に吊るしてある鐘がなり、また、お客さんが来たみたいだ。

「いらっしゃいませっ…?!」

そう挨拶をして、店の入り口の方を見ると立っていたのは、倉石くんと倉石くんの彼女…と思われる人だった。私は咄嗟に顔を隠して厨房に隠れた。
…何で、この店に来てるのよ…。というか、私は何で隠れちゃったの?し、仕事しないと…。なるべく、顔を見られないように…。

「ななちゃん。8番テーブルの注文を取ってきてくれる?あれ?どうしたの?メガネしちゃって」
「な、何でもないですっ!」

バレるかな…。
私は横目で倉石くんを見ながら8番テーブルに行く事にした。
8番テーブル…?ちょっと…神様?いや、サンタさん?これは、どういうプレゼントですか?倉石くんのテーブル…8番だ…。別に普通のお客さんとして、ここに来てるだけなんだから気にしない、気にしない。私は意を決して注文を取りに行く事にした。

「ご、ご注文は?」
「…」
「どうしたの?佳介君」
「いや…。ホットココア2つでお願いします…」
「か、かしこまりました〜」

もう、嫌だ…。倉石くん、苦笑いしてた…。あの笑いはどういう意味だろう。…隣の子。可愛かったな…。倉石くんのタイプってあの子みたいな子なのかな。ふと、倉石くんの彼女をジッと見つめていると目が合ってしまった。そして、何故か一瞬、睨まれたような気がした…。な、何か変な事したかな…。私は咄嗟に目を逸らし厨房に逃げ込んだ。もう…誰か助けて…。
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