ラッキーセブン部 【番外編】

近藤 隼一編

しっかし…外、寒いな。
姉さんの部屋にこもってた方が良かったかな?でも、あの姉さんの事だ俺をこき使うに決まってる。
さてと…どこかで暖まるか…。
あ、あの店にしよう。
俺は高層ビルが立ち並んだ所の一角にある喫茶店に入る事にした。

カランコロン

「いらっしゃいませ〜」

俺が扉を開けると軽快な鈴の音と共に、店員のあいさつが聞こえてきた。
やっぱり、暖かい。

「あの…こちらの席です…」

そう言って、席に案内してくれた人は眼鏡少女みたいなのだがずっと俯いて俺に顔を見せないまま、その場を去っていった。
接客に向いてないだろ、あの人。でも、そこが可愛いかな、なんて思ってる自分もいる。しかも、声が…笹井先輩に似てたな。
俺はふと、店の中を見渡してみると、見覚えのある背中を見つけてしまった。
あれは…倉石っ!あいつも一人で喫茶店に来てるのか?あっ。さっきの店員と何かを話してる…。店員さんが眼鏡を外した。やっぱり、笹井先輩だ!倉石、抜け駆けしやがったな…。あ、離れていった。
俺はそのまま倉石の監視を続けると、数分も立たないうちに別の女子が倉石の前に座った。
どういう事だ。あれじゃあ、どう見てもカップル…。いや、間違いなくカップルだ。カバンに同じストラップを付けてる。という事はあれか、たまたま笹井先輩が働いてる店に倉石がカップルで来たって事か…。

「…ご注文はお決まりですか?」

俺がそうやって悶々と考えていると笹井先輩が注文を取りに来た。
また、眼鏡をかけた状態で。まさか、バレないとでも思っているのだろうか。

「先輩、バイトいつ終わるの?」
「え?」
「終わったら俺と出掛けない?」
「えっと…別に良いけど…。じゃあ、5:00に…また、ここに来て」
「マジで!ありがとう、先輩!」

駄目元で頼んでみたけど、いけた。これはチャンスだ。もしかしたら、先輩と付き合えるかも…?
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