ラッキーセブン部 【番外編】

荻野 正弥編

栄が来てくれて助かった…。まさか、麻弥が塩をあんなにたくさん入れるとは思わなかったから、どうしようかと悩んでいた。

「栄、お前、どうして俺の家に来たんだ?」
「家にいたくなかった…だけだよ」
「なるほど。栄も大変なんだな」
「まあね。クリスマスって、本当になんだろうね」
「…海外の祝い事…」
「いや…別にそういう答えを聞きたいわけじゃないんだけど…」

間違いではないと思うけどな。元々、クリスマスは海外の人が家族でプレゼントを交換したり食事したりして祝うものだし…。日本ではカップル同士が祝う…みたいになってるのはどうかと思う。まぁ、両親を出掛けさせて家で麻弥と一緒に待っているという俺が言える事でもないけど。

「あ、正弥。あそこにいるの隼一と笹井先輩じゃないかな…」
「え、どこ!」
「…嘘だよ。あの2人がこんな所を2人だけで歩いてるはずないでしょ」
「…くだらない嘘つくな」
「動揺した?動揺したよね?」
「…殴られたいのか?」

俺が拳を栄に突き出すと、栄は笑いながら二三歩、俺から離れた。
冗談だとは思ったが、心の隅ではそんな事があるんじゃないかと思ってしまっていた。ていうか、何で俺、そんな事を思っているんだろうか。
クリスマスのせいで俺の心境に変化があったのかな。

「…栄のばかやろう!!」
「えっ!何?どうしたの?」
「栄もやれ。俺だけ変人に見えるだろ」
「え…よく分からないけど。…正弥のばかやろう!!」
「バカだな…」
「意味分からないよ」

クリスマスに友達と過ごすのも、良いもんだな。今日は笹井先輩の事は気にしないでおこう。
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