ヴァニタス
大学進学のために上京したと言うくらいだから、美大を受験していたのかと思っていた。

「その当時はね、画家になりたいとは思ってなかった。

昔から絵を描くことは好きだったけど、それはあくまでも趣味として。

その当時は確か…世界中を飛び回ることが夢だった」

私の頭の中を呼んだと言うように、武藤さんが言った。

「世界中を飛び回ること、ですか?」

何だろう、その夢は。

「例えばそうだな、ジャーナリストとか」

「じゃ、ジャーナリスト…ですか」

「意外?」

そう聞いてきた武藤さんに、
「…少し」

私は呟くように答えた。

「そもそも、どうしてジャーナリストになりたいって思ったんですか?」
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