ヴァニタス
長かったのか、それとも短かったのか。

武藤さんの唇が離れた。

私と武藤さんは、見つめあった。

彼を見つめている私の顔は、きっと赤くなっていることだろう。

暗闇だから、武藤さんには私の顔の色なんてわからないと思うけど。

武藤さんが私の背中を押した。

「――きゃっ…」

背中を押されたせいで、私は武藤さんのうえで横になる格好になってしまった。

えっ、今度は何?

そう聞こうと思ったけど、武藤さんの手は背中から肩へと移っていた。

肩へと移ったその手は、私をギュッと優しく抱きしめた。

まるで大切なものを守るようなその仕草に、私の心臓がドキッと鳴った。
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