ヴァニタス
「果南ちゃん、やったな!」

そう言った武藤さんの方に視線を向けると、武藤さんの目は潤んでいた。

私も嬉しいのはもちろんのことだけど、喜んでいる武藤さんも嬉しいんだと思った。

「はい」

私は首を縦に振ってうなずいた。


病院からの帰り道も、武藤さんは私を支えていた。

「武藤さん、そんなことしなくても歩けるから大丈夫ですよ」

私は武藤さんに言った。

「でも心配だから仕方がないじゃないか。

もし、果南ちゃんと赤ちゃんの身に何かがあったらどうするの?」

武藤さんのあまりの過保護ぶりに、私は苦笑いしながら彼に従うしか他がなかった。
< 337 / 350 >

この作品をシェア

pagetop