ヴァニタス
私はコツンと、自分の額と武藤さんの額を重ねた。

「――武藤さんはもう1人じゃないですよ」

私は言った。

「武藤さんのそばには私がいて、この子がいます。

だから、武藤さんはもう1人じゃないですよ」

「――果南…」

武藤さんが私の名前を呼んだ。

私は目を閉じた。

武藤さんの唇が、私の唇と重なった。

愛する人に抱きしめられること、愛する人とキスすることが、こんなにも嬉しいことだなんて私は知らなかった。

武藤さんの唇が離れたのと同時に、私は目を開けた。

「――まあ、強いて言うならだけど」

武藤さんが言った。
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