ヴァニタス
武藤さんは満足そうに笑った後、
「じゃあ、ご飯にしようか?」
と、言った。

「えっ?」

ちょっと唐突過ぎませんか?

何の前触れもなく、ご飯にしましょうって。

「作れるんでしょ?」

笑いながら聞いてきた武藤さんに、
「少し、だけなら」

私は呟くように答えた。

と言うか…ああ、そうだ。

私は武藤さんの家政婦として住むことになったんだ。

本来の目的をすっかり忘れていた。

家政婦だからご飯を作るのは当たり前だ。

「じゃ、ご飯を食べよう」

嬉しそうに家の中に入った武藤さんの後を追うように、私も家の中に入った。
< 42 / 350 >

この作品をシェア

pagetop