スイートナイト
日づけが変わる30分前。

「ただいまー」

巽が帰ってきた。

「お帰りなさい」

私は玄関に行くと、彼を出迎えた。

巽は待っていたと言うように、私を抱きしめた。

「ちょっと、もうー」

口ではそんなことを言う私だけど、本当は彼に抱きしめられることがうれしくて仕方がなかった。

「だって静希不足なんだもん」

巽はギューッと、私を強く抱きしめた。

彼の甘えん坊な部分を知っているのは、私だけかも知れない。

指名客すら知らない巽の一面を私だけが知っていることに優越を感じた。
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