スイートナイト
「だから早く行かないと、始まっちゃうよ」

子供のように急かす巽くんがかわいくて、
「そうだね」

私は返事をしていた。

「ほら、急ごう」

巽くんが私の手を引っ張った。

「えっ、わあっ…」

私…今、巽くんと手を繋いでる!?

心臓がドキドキと、うるさく鳴り始めた。

違う違う!

手を繋がれたことにドキドキしているんじゃなくて、ミュージカルが楽しみだからドキドキしているの!

そんな子供みたいなことを自分に言い聞かせた。
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